作品
CV
1970年、出生。青森県出身。
2012年、セール中のカリグラフィーペン購入をきっかけにカリグラフィーの独学を開始。
2016年より西村弥生氏に師事、西洋キリスト教史を踏まえた伝統的ラテン文字カリグラフィー、文字装飾技法、および紋章学を学びながら、東洋仏教圏の文字(梵字、チベット文字等)を独学。
2018年 カリグラファーとして活動開始。広告デザインやブランドロゴ作成、神社仏閣の御札や御朱印帳等の制作をしながら、世界中の様々な文字を使用した創作活動を行う。
2020年のコロナ禍中、カリグラムの発展型としての「手書き文章による絵画的表現」について研究し、書としても絵画としても鑑賞に耐えうる表現技法を習得。その表現技法で制作された作品を「文画」と命名、自らを「文画師」と名乗る。
<個展>
2018年 「Gannini's Scriptorium 2018」フォトカノン 東京、 「曽我篤カリグラフィー作品展」ギャラリー山小屋 東京
2019年 「手書き文字の力」弘前市立百石町展示館 青森、 「曽我篤カリグラフィー作品展」淡路町カフェカプチェットロッソ 東京
2021年 「Ganicalligraphy2021」淡路町カフェカプチェットロッソ 東京
2022年 「Ganicalligraphy2022」ギャラリー汀 世田谷 東京
<グループ展>
2021年 「Artists from Japan」Viridian Artists Gallery ニューヨーク、 「Superfine Art Fair」CENTER 415 ニューヨーク
2022年 「いんすぴ」これやん展 Vol.3 パークホテル東京、 「Pieces for Peace~ what artists can do」Viridian Artists Gallery ニューヨーク、 「The Darkness of This Time」Viridian Artists Gallery ニューヨーク
2023年 「Herstory」Viridian Artists Gallery ニューヨーク、 「いんすぴ」これやん展 Vol.4 パークホテル東京、 「ドラゴンアートフェスタ 2023」有楽町マルイ 東京、 「第8回KSアーティストクラブ展」銀座幸伸ギャラリー 東京、 「A Path For The Future」Viridian Artists Gallery ニューヨーク
<受賞歴>
2017年 第46回 國際書道連盟展 秀作賞
2018年 第47回 國際書道連盟展 佳作賞
2021年 第49回 國際書道連盟展 秀作賞
2022年 第50回記念國際書道連盟展 秀作賞
2023年 「いんすぴ」これやん展Vol.4 オーディエンス賞第2位、 第51回國際書道連盟展 秀作賞
ステートメント・PR
私の作品は、「書」であると同時に「絵画」でもあります(その独自の表現を「文画」と名付けました)。
「書は人なり」という言葉があります。名を成した人物は、それなりの言葉を残しています。また、言葉は人間のもつ最大の武器だと思っています。昔の人が残した言葉が、何百年も後の人を影響を与え、感動させたりすることは大して珍しいことではありません。その「言葉」の力を、文字が読める人にはもちろん、文字が読めない人にも届けたい。そういう思いで私は様々な人物が残した、主に自分自身が大きな影響を受けた文章を引用し、写経の如くひたすら書くのです。
私の作品の近くに寄った人には私が書いた文章が読めると思いますが、私の作品は色々な言語を使用しているので、作品によっては読めないものもあると思います。仮にその作品に書いてある文章が読めなくても、私の作品を遠く離れた位置から眺めれば、文章全体が何を表現しているかが視覚的に伝わるのではないでしょうか。
また、私の作品は文章によって構成されてはいるものの、文章が読めるかどうかに関わらず、全体を構成する文字の形や文字線の軌跡を鑑賞したり、様々な距離や角度から眺めることで見え方の変化を楽しんでほしいと思っています。
ここに上げた作品の一つ目は、チェ・ゲバラ(1928-1967)が1965年4月に彼の両親に宛てた手紙と、彼の子供達に宛てた手紙の文章を手書きしたものです。その翌年にボリビアの革命戦争へ参加するも 1967年10月、敵に捕らえられ処刑、この手紙が彼の最期の手紙=遺言となったのです。
「虐げられている民衆を救う」という強い信念をもって一生を貫いた、彼の覚悟の面持ちを紙面全体に表現しました。
二つ目の作品は、日本の国旗のように見えると思いますが、中央の赤い球状部分には、明治天皇(1852-1912)の御製「よもの海みなはらからと思ふ世に など波風のたちさわぐらむ」を英文で書いてあります。
カリグラフィーのフローリッシュを用いて燃え盛る火の玉のようにして、当時の「日の出の勢い」で近代的発展を遂げた日本の様子を表現するとともに、その火の玉の中に、「世界中の国々と仲良くやっていきたいのに、どうして波風が立ってしまうのだろうか」という、大日本帝国の元首のやりきれない複雑な思いを込めました。
三つ目は、峠三吉(1917-1953)の詩「その日はいつか」全文を引用して原爆ドームを描いたものです。
「原爆詩人」と呼ばれる峠三吉の唯一の詩集である『原爆詩集』に収録されている 三千文字を超える最も長い詩、それが「その日はいつか」です。その三千余文字に込められた、原爆の犠牲者に対する追悼、戦後の日米関係、そして平和に対する切なる願いを紙面全体に表現しました。
実行委員コメント
Ganiさん、外苑前の説明会にご参加いただきまして、ありがとうございました。その時も説明していただきましたが、カリグラフィーとアートの融合はとてもユニークでオリジナリティがあって素晴らしいと思います。「文画」のシリーズはアイデアが秀逸です。カリグラフィの精度があがって、それだけでも美しいと思わせてくれる完成度でこの「文画」シリーズのクオリティが上がってきたらさらにすごいものができるのではないかと期待しています。