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作品
CV
20代より企業広告やミュージックビデオなどの映像クリエイターとして多くの作品を演出。
2018年より自身による自分だけの表現を模索するべく、半径1メートルの手の届く表現方法である
絵画表現を中心とした現代美術家として活動を開始。
個展
2022年 COUNT DOWN、haco ‒ art brewing gallery ‒(東京)
2020年 GLITCH、リグナテラス東京(東京)
グループ展
2022年 IAG Artists Selection 2022 池袋回遊派美術展、東京芸術劇場(東京)
2021年 FOCUS LONDON、FOLD Gallery London(ロンドン)
2021年 IAG AWARDS 2021、東京芸術劇場(東京)
2020年 SPIRAL INDEPENDENT CREATORS FESTIVAL 21、スパイラル(東京)
2020年 Dream - On the Road to Basel、ART FAIR FRAME(バーゼル)
2019年 FRAME 2019 International Contemporary Art Fair(パリ)
他
受賞歴
2021年 IAG AWARDS 2021、入選
2019年 UNKNOWN ASIA Art Exchange Osaka 2019、レビュワー賞
2019年 ARTMOVE Japan Art Competition vol.24、入選
ステートメント・PR
<展示にあたり>
もし私が展示の機会をいただけたならばタイトルをこう付けさせていただきます。
「漂流する私たちの分身」
アパレル業界は、石油産業に次ぐ「世界2位の環境汚染産業」と国連に指摘されています。今、先進国はリサイクルのかけ声のもと、大量の古着をアフリカなどの途上国に押し付けています。そして、それが現地の繊維産業を衰退させ、大規模な環境汚染にも繋がっていることをご存知でしょうか?
私の展示は、服が持つ個人の記憶に耳を傾けながら、その服が形を変えて流通していく姿を鑑賞することで、私たちの「買うこと・捨てること」に思考を広げていただくための試みとなります。
古着を譲渡いただいた方々にインタビューを実施、まつわる想い出や、服の消費に関する意識について質問します(映像として展示)。さらにその古着をキャンバスに貼り付け、分身となるポートレート作品を制作しました。
<ステートメント>
多感な時期を古着の街・下北沢で過ごした。海外発のTシャツやジーンズ、帽子やブーツまで。それらはまるでゲームの中で遺跡から発掘された伝説の装備のように、弱い自分の変身願望を満たす、憧れの対象であった。いつか大人になってお金を自由にできるようになったら真っ先に古着を購入したい、そんな話を友人にしたことがある。しかし、返ってきたのは「古着なんて気持ち悪い」のひと言だった。
古着は当然のことだが、誰かが着ていたものだ。その服の数だけ、まつわるエピソードがある。それは、ここぞというときの勝負服として着られていた服で、誰かと愛の言葉を交わす夜を過ごしたラブストーリーかもしれないし、重い病気を患った持ち主と闘病生活を共にした服で、何かをやり残したまま亡くなってしまった悲劇かもしれない。そんな古着の持つ「個人の記憶や想い」を感じるなら、確かに気持ち悪いと捉える人もいるかもしれない。鈍感な私にとっては映画作品を探すようなとても楽しい妄想遊びなのだが、友人は違ったようだ。
古着を選ぶということは、サステナブルで地球に優しい行為だ。しかし、古着が大量に流通するということは消費社会の裏返しでもある。そして、古着を発展途上国などに寄付するという動きもあるが、その実態の多くは転売ビジネスとなっており、寄付先の繊維産業の衰退に繋がり、雇用減少に至り貧困を助長していることはあまり知られていない。世界の衣料の生産量は必要とされる量をはるかに上回り、ゴミとして焼却処分、国によっては年間100トンを超える量を埋め立てており、この大量生産・大量消費のサイクルは環境問題にも繋がっていく。
古着は「個人の記憶や想い」を染み込ませられるメディウムとして、大量消費社会を語る上で欠かせないモチーフとして、さらに、よりマクロに捉えると面白い。服を脱ぐと、人間は無防備になる。猿と一緒だ。服を纏っているということでかろうじて原始からの脱却をした知的生命体であるという世間体を保っている。現に街なかで素っ裸でいたらこの現代社会では逮捕されてしまう。服は「個を社会と切り分けるもの」なのである。
だから私は、キャンバスに古着を纏わせてみた。途端、このキャンバスは極めて個人的なものであると同時に社会的造形物になる。そして原始、つまり宗教画をはじめとした純粋な絵画芸術から脱却し、現代における先端芸術に身を置くという世間体をとる。さらに現代アートもマーケットに大きく左右される産業であり、そこを流通する作品たちも、まるで大人のための着せ替え人形のごとく消費されていく。そんなアイロニーを込めて、唯一無二の人生ドラマを包括する、NFTでは扱えない一点ものの作品として、ここに表現する。
今、個々人が社会への関わりを見つめ直すことを求められている。
美術解説するぞー 鈴木博文 審査員コメント
古着という素材についての視点、社会的な問題提起への姿勢に関心を持ちました。古着がアートとしてこれからどのように昇華されていくのかが楽しみです。
実行委員コメント
2019年のUNKNOWN AISAでお会いした清水さん、アーティストのミュージックビデオ制作や映像制作に長けたダンディな清水さんの作品はとてもジャーナリスティックで批評性に満ちた社会派アートのイメージがありましたが、この応募作品ではより抽象化、立体化され自由度が増したものに進化したなあと感じました。古着を譲渡してもらった人ににインタビューをして、作品に映像をプラスするとはアグレッシブですね。古着を通して社会との関わりを見つめ直すアート。今の時代に呼応した表現です。何かご一緒できることがあれば。